AGA(男性型脱毛症)の治療には、医師が指針とする「ガイドライン」が存在することをご存知でしょうか?
日本皮膚科学会が作成した「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」です。これ以降、改訂されていませんので、2023年版や2025年版などはありません。
これは、17人の専門医が科学的根拠(エビデンス)に基づいて、「どの治療法が効果的か」「どの治療法は避けるべきか」をランク付けしたものです。
専門的な内容ですが、これからAGA治療を始める40代男性にとっては「無駄な治療にお金を使わないための最強の教科書」になります。
この記事では、ガイドラインの要点を一般の方にも分かりやすく噛み砕いて解説します。
※本記事はガイドライン(2017年版)の内容を要約・解説したものです。2026年8月時点で、これより新しいバージョンは出ておりませんが、最新の情報は日本皮膚科学会の公式サイトをご確認ください。
ガイドラインによる「治療法の評価」ランク
ガイドラインでは、各治療法を以下の5段階で評価しています。
- A:行うよう強く勧める(最高ランク)
- B:行うよう勧める
- C1:行ってもよい
- C2:行わないほうがよい
- D:行うべきではない
私たち患者が選ぶべきは、当然「Aランク」の治療法です。
では、具体的に何がAランクなのか見てみましょう。
【男性版】推奨される治療法まとめ
まずは男性(AGA)の場合です。結論から言うと、「飲み薬」と「塗り薬」の2つだけがAランクです。
| 治療法 | 推奨度 | 解説 |
|---|---|---|
| フィナステリド (内服) |
A | 【守りの薬】 脱毛ホルモンの発生を抑え、抜け毛を防ぐ。最も基本となる薬。 |
| デュタステリド (内服) |
A | 【守りの薬(強)】 フィナステリドより強力な作用を持つ。 |
| ミノキシジル (外用・塗り薬) |
A | 【攻めの薬】 頭皮に塗るタイプ。発毛を促進する。リアップなどが有名。 |
| 自毛植毛 | B | 自分の髪を移植する手術。確実だが費用が高い。 |
| LED・レーザー | B | 血行促進など補助的な効果が認められている。 |
| アデノシン (外用) |
B | ミノキシジルほどではないが、一定の効果が認められている。 |
| 人工毛植毛 | D | 感染症のリスクが高いため、推奨されない。 |
参考:C1・C2ランクの治療法について
表にはA・B・Dランクの主な治療法を掲載しましたが、ガイドラインではその他にも複数の治療法が評価されています。「C1(行ってもよい)」「C2(行わないほうがよい)」に分類された治療法も知っておくと、クリニックで提案された治療法を判断する材料になります。
C1:行ってもよい
- カルプロニウム塩化物(外用)
- t-フラバノン(外用)
- サイトプリン・ペンタデカン(外用)
- ケトコナゾール(外用)
- かつらの着用
C2:行わないほうがよい
- ビマトプロスト・ラタノプロスト(外用)
- 成長因子導入・細胞移植療法(いわゆるメソセラピー・HARG療法などが該当するとされています)
※C1・C2は「効果がまったくない」という意味ではなく、「エビデンス(科学的根拠)が十分でない」あるいは「有効性を示すエビデンスがない」という評価です。詳細は本記事末尾の参考文献をご確認ください。
【重要】ミノキシジル「内服薬」の評価について

ここで一つ、多くの人が疑問に思うポイントがあります。
AGAクリニックでよく処方される「ミノキシジルの内服薬(通称:ミノタブ)」についてです。
ガイドラインの評価:D(行うべきではない)
「えっ? クリニックですすめられたけど、ダメなの?」と驚く方もいるかもしれません。
ガイドラインで「D」となっている理由は、「効果がないから」ではありません。
むしろ「発毛効果は非常に高い」ことが知られています。
しかし、元々が高血圧の治療薬(降圧剤)であるため、全身の多毛や心臓への負担といった副作用のリスクがあり、「皮膚科学会として万人に推奨できる段階ではない(国内未承認)」という判断からDランクになっています。
そのため、多くのAGA専門クリニックでは、
「リスクを理解した上で、医師の厳格な管理下で使用するなら、高い効果が得られる選択肢」
として処方されているのが実情です。
女性(FAGA)の場合の注意点
女性の薄毛治療は、男性とは推奨される内容が大きく異なります。
- ミノキシジル(外用):A(推奨)
女性も「塗るミノキシジル」は効果的です(濃度は1%が推奨)。 - フィナステリド・デュタステリド:D(行うべきではない)
これらは男性ホルモンに作用するため、女性には効果がありません。特に妊婦や妊娠の可能性がある女性は絶対に服用してはいけません(男子胎児の生殖器に影響が出る危険性があります)。
まとめ:ガイドラインから分かる「正解」
ガイドラインを読み解くと、40代男性がまずやるべき「正解」が見えてきます。
- まずはAランク(フィナステリド・デュタステリド)の内服で進行を止める。
- さらに発毛させたいならAランク(ミノキシジル)の外用を併用する。
- より強い発毛を望むなら、医師と相談の上でミノキシジル内服も検討する(リスク管理必須)。
- 怪しい民間療法や、科学的根拠のない育毛剤には手を出さない。
つまり、「クリニックで処方される基本的な薬」こそが、最も科学的根拠のある近道だということです。
自己判断で海外サイトから個人輸入したり、根拠のないケア用品にお金を使う前に、まずは専門医による正しい診断を受けることをおすすめします。
ここまで見てきた通り、AGA治療でまず検討すべきは推奨度A(フィナステリド・デュタステリドの内服、ミノキシジルの外用)に対応したクリニックです。
これらの治療を扱うオンラインクリニックの料金・特徴を比較した記事を、以下でご紹介しています。
ここまでガイドラインに基づいた治療法の評価を解説してきましたが、「実際に治療を始めると、どんな流れになるのか」も気になるところではないでしょうか。
40代・治療未経験からAGA治療をスタートした筆者自身のリアルな体験談も、あわせてご紹介しています。
参考文献・出典
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf - フィナステリド錠(プロペシア錠0.2mg/1mg)添付文書|医薬品医療機器総合機構(PMDA)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/249900XF1021_3 - デュタステリドカプセル(ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg)添付文書|医薬品医療機器総合機構(PMDA)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/249900AM1023_1 - ミノキシジル外用薬(リアップX5)添付文書|大正製薬株式会社
https://www.catalog-taisho.com/content/dam/…/06724_ProductPDF_jp.pdf
※本記事はガイドライン・各医薬品の添付文書等、公的な一次情報をもとに一般の方向けに要約・解説したものであり、医師の診断・治療方針に代わるものではありません。実際の治療方針は、必ず医師にご相談の上でご判断ください。

