この記事は「#AGAのウソホント」シリーズの第50回です。 よくある薄毛の疑問を、診療ガイドラインや研究、公的機関の情報を参考に、できるだけわかりやすく解説しています。
※本記事は、公的な診療ガイドラインおよび公表されている研究を参照して執筆しています。参考文献・参考情報は最後にまとめて掲載しています。
筋トレをしている人の間で人気のサプリメント「クレアチン」。「クレアチンを飲むとハゲる」という話を聞いて、気になったことはありませんか。結論から言うと、クレアチンを飲むとハゲると言い切れる根拠は、現在のところありません。
ただし、過去に「クレアチンを飲むと、薄毛に関わるホルモンが増えた」という研究があり、それが噂の元になっています。
この記事では、クレアチンとは何かから、噂のきっかけになった研究、そして新しくわかってきたことまで、わかりやすく解説します。
- クレアチンとはどんなものか
- クレアチンを飲むと本当にハゲるのか
- 「クレアチンでハゲる」と言われるきっかけになった研究
- 新しい研究ではどんな結果が出たのか
クレアチンを飲むとハゲるって本当?

現在の研究では、クレアチンを飲むとハゲると断定できる根拠はありません。
ただし、過去に「クレアチンを摂取したら、薄毛に関わるホルモンが増えた」という研究があり、それが噂のきっかけになっています。
その後、より詳しく調べた新しい研究では、また違った結果も出ています。「クレアチン=ハゲる」と単純に決めつけず、研究の流れを順番に見ていきましょう。
なぜ「クレアチンを飲むとハゲる」と言われるの?

クレアチンは筋トレで使われるサプリ
クレアチンは、もともと私たちの体の中にもある成分で、肉や魚などの食品にも含まれています。筋肉を動かすためのエネルギーを素早く作る働きに関わっており、筋トレの効果を高める目的で、サプリメントとして広く使われています。
薄毛に関わるホルモン「DHT」との関係が注目された
薄毛(AGA)には、DHTという物質が深く関わっているとされています。
DHTは、男性ホルモンのテストステロンが体の中で変化してできる物質です。クレアチンを摂取すると、このDHTが増えるのではないかという研究結果が報告されたことから、「クレアチン=ハゲる」という噂が広まりました。
2009年の研究がきっかけ
2009年に、ラグビー選手を対象とした研究で、クレアチンを摂取したグループでDHTの値が増えたという結果が報告されました。これが、噂の直接のきっかけになった研究です。
ただし、「DHTの値が増えた」ことと、「実際に髪が薄くなった」ことは、イコールではありません。この点を混同しないことが大切です。
具体的にどんな研究だったのかは、次の章で詳しく紹介します。
クレアチンを飲むとDHTは増える?

2009年の研究では、DHTが増加した
2009年に発表された研究では、大学生年代のラグビー選手20人を対象に、クレアチンを摂取してもらい、体の変化を調べました。その結果、クレアチンを摂取した期間に、血液中のDHTの値が大きく増えたことが報告されています。
男性ホルモンのテストステロン自体の量は変わらなかったものの、テストステロンからDHTへの変化が進みやすくなった可能性がある、と研究者は考察しています。
その後の研究では、同じ結果が確認されていない
この2009年の研究以降、クレアチンとDHTの関係を調べた研究は長らく行われておらず、同じ結果を確認した研究も、反対の結果を示した研究もない状態が続いていました。つまり、「クレアチンを飲むとDHTが増える」という話は、たった1つの小規模な研究にもとづくものだったのです。
DHTが増えたとしても、薄毛との関係は別問題
ここが今回の記事で特に大切なポイントです。
仮にクレアチンによってDHTが増えたとしても、それがそのまま「髪が薄くなる」ことを意味するわけではありません。薄毛(AGA)になるかどうかは、DHTの量だけでなく、DHTを受け止める毛根側の感受性など、生まれ持った体質が大きく関わっているとされています。
「DHTが増えた」という話と、「実際に薄毛が進んだ」という話は、切り分けて考える必要があります。
2025年の研究ではクレアチンと薄毛をどう調べた?

クレアチンを飲むグループと飲まないグループを比較
2025年に発表された研究では、筋トレをしている18〜40歳の健康な男性45人を対象に、クレアチンを1日5g摂取するグループと、有効成分の入っていない粉末を摂取するグループに分けて、12週間にわたって比較する試験が行われました。
参加者にも、調べる側の研究者にも、どちらのグループなのかわからないようにしたうえで行われており、思い込みの影響をできるだけ排除する工夫がされています。
DHTの値に、はっきりした差はなかった
12週間後、血液中のDHTの値や、DHTとテストステロンの比率を比べたところ、クレアチンを摂取したグループと、していないグループのあいだに、はっきりした差は見られませんでした。
髪の量や太さにも、はっきりした差はなかった
この研究では、DHTの値だけでなく、実際の髪の状態(髪の密度、毛穴から生えている毛の束の数、髪の太さ)も専用の検査で調べています。その結果、髪の状態についても、クレアチンを摂取したグループとしていないグループの間に、はっきりした差は見られませんでした。
研究者は、「クレアチンの摂取後に髪の状態を直接調べた初めての研究であり、クレアチンが抜け毛の原因になるという主張に反する結果」としています。
ただし、参加者の数が38人(試験を完了した人数)と多くはないこと、もともと薄毛になりやすい体質かどうかは調べていないことなど、研究自体の限界も研究者自身が指摘しています。
クレアチンを飲むとAGAになる?

AGAの主な原因は?
AGAは、主に男性ホルモンの影響や、生まれ持った体質(遺伝的な要因)が関係する進行性の脱毛症です。髪の毛が生える期間が徐々に短くなっていくことで、少しずつ髪が細く・薄くなっていきます。
DHTはAGAに関係する
DHTは、AGAの発症や進行に深く関わっているとされる物質です。DHTが毛根に結びつくことで、髪が生える期間が短くなっていくと考えられています。
クレアチンがAGAを引き起こすとは確認されていない
DHTがAGAに関係することは確かですが、「クレアチンを飲むとDHTが増え、それによってAGAが引き起こされる」ということが確認されたわけではありません。
前の章で見た通り、2025年の研究ではDHTにも髪の状態にもはっきりした差は見られませんでした。「DHTはAGAに関係する」ことと、「クレアチンがAGAを引き起こす」ことは、別の話として考える必要があります。
クレアチンを飲んで抜け毛が増えたらどうする?

まずクレアチンだけを原因と決めつけない
抜け毛が増えたように感じても、クレアチンだけが原因だと決めつけないようにしましょう。生活習慣の変化や体調、季節的な要因など、抜け毛が増える理由はさまざまです。
AGAの可能性も考える
生え際が後退してきた、頭頂部の地肌が目立ってきたなど、部分的な変化が進んでいる場合は、AGAの可能性も考えられます。クレアチンの使用とは関係なく、もともとAGAの体質だった可能性もあります。
抜け毛が続くなら専門医に相談
数か月単位で抜け毛が多い状態が続く場合や、部分的な薄毛が気になる場合は、自己判断で済ませず、専門医に相談することをおすすめします。
薄毛が気になる人はクレアチンをやめたほうがいい?

現在の研究だけで、一律にやめる必要があるとは言えない
ここまで見てきた通り、現在の研究では、クレアチンが薄毛を引き起こすという確かな根拠は示されていません。そのため、薄毛が気になるという理由だけで、クレアチンの使用を一律にやめる必要があるとは言えません。
心配な場合は、摂取量や使い方を見直す
それでも気になる場合は、摂取量が極端に多くなっていないか、必要以上に長期間・大量に使っていないかなど、使い方を見直してみるとよいでしょう。
AGAが気になるなら、クレアチンとは切り離して考える
本当に気になっているのがAGAである場合、クレアチンをやめるかどうかよりも、AGAへの対策を優先して検討することをおすすめします。クレアチンの使用を続けるかどうかと、AGA対策は、別々に考えるとよいでしょう。
早めに専門医へ相談したい方へ AGAは進行性の脱毛症であるため、気になるサインがあれば早めに専門クリニックへ相談することが大切です。最近では、通院の手間が少ないオンライン診療を選ぶ方も増えています。料金や特徴を比較しながら検討したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
クレアチンとハゲに関するよくある質問
まとめ|クレアチン=ハゲるとは言い切れない
この記事のポイントを整理します。
- 「クレアチン=ハゲる」という確かな根拠は、現時点ではありません
- 2009年の研究では、クレアチン摂取後にDHTが増えたと報告されました
- 2025年の研究では、DHTにも髪の状態にもはっきりした差は見られませんでした
- 「DHTが増える」ことと「実際に薄毛が進む」ことは、切り分けて考える必要があります
- 抜け毛が気になる場合は、クレアチンだけを原因と決めつけず、AGAなど別の可能性も確認しましょう
今後、さらに研究が進むことで、新しい知見が出てくる可能性もあるテーマです。引き続き注目していきたいところです。
「#AGAのウソホント」シリーズでは、このほかにも身近な薄毛の疑問について解説しています。あわせてご覧ください。
👨💼 40代サラリーマンのAGA治療体験記ブログまとめ
私のAGA治療の全記録は以下のブログでまとめています。これから治療を始める方はぜひ順に読んで参考にしてください。
参考文献・参考情報
- van der Merwe J, Brooks NE, Myburgh KH. “Three Weeks of Creatine Monohydrate Supplementation Affects Dihydrotestosterone to Testosterone Ratio in College-Aged Rugby Players.” Clin J Sport Med. 2009;19(5):399-404.
- Lak M, Forbes SC, Ashtary-Larky D, et al. “Does creatine cause hair loss? A 12-week randomized controlled trial.” J Int Soc Sports Nutr. 2025;22(Suppl 1):2495229.
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
- Hillmer AM, et al. (2005) “Genetic Variation in the Human Androgen Receptor Gene Is the Major Determinant of Common Early-Onset Androgenetic Alopecia.” Am J Hum Genet. 77(1):140-148.
※本記事は、公的な診療ガイドラインおよび公表されている研究を参照して執筆しています。個別の症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。

