この記事は「#AGAのウソホント」シリーズの第43回です。 よくある薄毛の疑問を、診療ガイドラインや研究、公的機関の情報を参考に、できるだけわかりやすく解説しています。
※本記事は、公的な診療ガイドラインおよび公表されている研究を参照して執筆しています。参考文献・参考情報は最後にまとめて掲載しています。
「ハゲは母方から遺伝する」そんな話を聞いたことはありませんか。
母方の祖父の髪の状態を見て、自分の将来を心配してしまう人も多いと思います。結論から言うと、AGA(男性型脱毛症)には遺伝的な要因がありますが、「母方だけを見れば分かる」というほど単純な話ではありません。
この記事では、ハゲと遺伝の関係、母方・父親との関係、隔世遺伝の噂の真相、遺伝的な要因があっても対策はできるのかまで、わかりやすく解説します。
- ハゲは本当に遺伝するのか
- 「母方から遺伝する」と言われる理由
- 父親との関係、隔世遺伝の噂
- 遺伝的な要因があっても対策はできるのか
結論|「ハゲは母方から遺伝する」は半分本当、半分ウソ

AGAには遺伝的な要因があります。ただし、「母方だけで決まる」わけではなく、父親側の遺伝的な要因も関係しています。母方の祖父が薄毛だからといって、必ず自分も薄毛になるわけではありません。
「母方だけを見る」という単純な話ではないことを、まず押さえておきましょう。
詳しい理由は、次の章から解説します。
そもそもハゲは遺伝するの?

AGAには遺伝が関係している
AGAは男性型脱毛症と呼ばれ、遺伝的な体質が発症に関係していることが分かっています。
特に、男性ホルモンの影響を受けやすい体質などが関係しているとされています。双子を対象にした研究では、AGAの進行度に遺伝的な要因が関わる割合はおよそ8割と、非常に高い数値が示されています。
遺伝だけでハゲるかどうかが決まるわけではない
ここが重要なポイントです。遺伝的な要素があっても、必ず発症するとは限りません。
発症する時期や進行の仕方には個人差があります。「遺伝=100%ハゲる」というわけではないのです。
なぜ「ハゲは母方から遺伝する」と言われるの?

母方の家系が注目される理由
「母方の祖父を見ると将来が分かる」という説が広まった背景には、理由があります。
AGAには、男性ホルモンの働きを受け取る部分に関わる遺伝子が関係しており、その遺伝子はX染色体という部分に存在することが分かっています。男性はX染色体を母親から受け取るため、「母方の家系を見るといい」と言われるようになりました。
ある研究では、この遺伝子の違いが、若い年齢で発症するAGAの重要な要因の一つであることが示されています。
ただし、母方だけで判断することはできない
ここが最重要ポイントです。
AGAに関係する遺伝的な要因は、母方由来の一つの遺伝子だけで決まるわけではありません。大規模な研究では、AGAに関わる遺伝子の多くが、父方・母方どちらからも受け継がれる部分にあることが分かっています。
そのため、母方の祖父がフサフサでもAGAになることがありますし、父方の遺伝的な要因も関係します。母方だけ見て安心したり心配したりするのは、正確ではないのです。
父親がハゲていると自分もハゲる?

父親の薄毛も無関係ではない
「父親がハゲているから、自分も将来ハゲるのでは?」という疑問を持つ人も多いでしょう。父親側の遺伝的な要因も、AGAには関係しています。
ただし、父親が薄毛だからといって、100%遺伝するというわけではありません。とはいえ、家系全体の傾向を見ることには一定の意味があります。
父親と母方、どちらを見ればいい?
結論から言うと、父親と母方のどちらか片方だけでは判断できません。父親、父方の祖父、母方の祖父、その他の男性親族など、家系全体を総合的に見るほうが、将来的な傾向を考えるうえでは参考になります。
ただし、家族に薄毛の人が多いからといって、個人の将来を断定することはできない点には注意してください。
ハゲは隔世遺伝するって本当?

祖父がハゲていると孫もハゲる?
「祖父の薄毛が、父親を飛ばして孫に遺伝する」というような、単純な隔世遺伝として説明できるものではありません。AGAには複数の遺伝的な要因が関係するため、祖父が薄毛、父親はフサフサ、自分はAGA、というケースも起こり得ます。
しかし、これを単純に「隔世遺伝」と断定するのは正確ではありません。家系の中で、それぞれの人がどの遺伝的な要因を受け継いだかによって、結果が変わってくると考えられています。
ハゲが遺伝する確率はどれくらい?

個人の確率を簡単に計算することはできない
「父親がハゲているから◯%」のように、簡単に数字で判断することはできません。理由はいくつかあります。
関係する遺伝的な要因が複数あること、発症する時期にも個人差があること、家族の状況だけでは判断できないことなどです。
研究の中では、AGAに関わる遺伝子領域が数多く特定されていますが、それらをすべて合わせても、リスクの一部を説明できるにとどまっており、個人の発症を正確に予測できるものではありません。
「遺伝しているかも」と思ったら早めに変化をチェック
将来を過度に心配するよりも、今の髪の状態を確認することが大切です。生え際が後退していないか、頭頂部の髪が細くなっていないか、抜け毛の状態が以前と変わっていないか、といった変化をチェックしてみましょう。
遺伝的にAGAになりやすくても対策はできる?

遺伝=何をしても防げないわけではない
AGAの遺伝的な要因があったとしても、「将来必ずハゲるから何をしても無駄」というわけではありません。AGAは進行性の脱毛症のため、気になる変化が出た場合は、早めに対応を検討することが重要です。
気になる場合はAGAかどうかを確認する
自己判断だけで、シャンプーを変える、育毛剤だけを使う、サプリを飲む、といった対策を続ける前に、そもそもAGAなのかどうかを確認することが大切です。
早めに専門医へ相談したい方へ AGAは進行性の脱毛症であるため、気になるサインがあれば早めに専門クリニックへ相談することが大切です。最近では、通院の手間が少ないオンライン診療を選ぶ方も増えています。料金や特徴を比較しながら検討したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
ハゲと遺伝に関するよくある質問
まとめ|「ハゲは母方から遺伝する」は単純には言えない
この記事のポイントを整理します。
- AGAには遺伝的な要因が関係する
- 母方の遺伝的な要因が注目される理由はある
- しかし、母方だけで将来の薄毛は決まらない
- 父親側の遺伝的な要因も関係する
- 「祖父がハゲている=自分も必ずハゲる」ではない
- 遺伝を過度に心配するより、現在の髪の変化をチェックすることが大切
「ハゲは母方から遺伝する」は、半分ホント、半分ウソです。母方由来の遺伝的な要因が関係しているのは事実ですが、それだけで将来が決まるわけではありません。気になる変化があれば、家系を気にしすぎるより、今の髪の状態を確認することが大切です。
👨💼 40代サラリーマンのAGA治療体験記ブログまとめ
私のAGA治療の全記録は以下のブログでまとめています。これから治療を始める方はぜひ順に読んで参考にしてください。
参考文献・参考情報
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
- Nyholt DR, Gillespie NA, Heath AC, Martin NG. (2003). “Genetic Basis of Male Pattern Baldness.” Journal of Investigative Dermatology, 121(6), 1561-1564.
- Hillmer AM, Hanneken S, Ritzmann S, Becker T, Freudenberg J, Brockschmidt FF, et al. (2005). “Genetic Variation in the Human Androgen Receptor Gene Is the Major Determinant of Common Early-Onset Androgenetic Alopecia.” American Journal of Human Genetics, 77(1), 140-148.
- Pirastu N, Joshi PK, de Vries PS, et al. (2017). “GWAS for Male-Pattern Baldness Identifies 71 Susceptibility Loci Explaining 38% of the Risk.” Nature Communications, 8, 1584.
※本記事は、公的な診療ガイドラインおよび公表されている研究を参照して執筆しています。個別の症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。

