この記事は「#AGAのウソホント」シリーズの第32回です。 よくある薄毛の疑問を、診療ガイドラインや研究、公的機関の情報を参考に、できるだけわかりやすく解説しています。
※本記事は、公的な診療ガイドラインおよび公表されている研究を参照して執筆しています。参考文献・参考情報は最後にまとめて掲載しています。
「最近、白髪が増えてきた」
「まだ20代なのに白髪がある」
「前髪やこめかみだけ白髪が目立つ」
「白髪はストレスが原因?」
「白髪を抜いたら増える?」
こうした疑問や不安を持ったことはありませんか。
白髪は、単純に「年齢のせい」だけで片づけられるものではありません。遺伝や、髪を黒くする仕組みの変化、生活習慣など、複数の要因が関係していると考えられています。
この記事では、白髪が生えるメカニズムから、主な原因、20代・30代の若白髪、生える場所との関係、よくある噂の真偽、対策、病院に行くべきかどうかまで、白髪についての疑問を一通り解説します。
- 白髪が生えるメカニズム
- 白髪の主な原因
- 白髪が増える理由
- 20代・30代で白髪が生える理由
- 白髪が生える場所と原因の関係
- 白髪にまつわる噂の真偽
- 白髪を黒髪に戻せるか
- 白髪を増やさないためにできること
- 病院に相談したほうがよいケース
白髪が生えるのはなぜ?

髪の毛が黒いのはメラニン色素があるから
髪の毛の色は、毛包(毛根を包む組織)にある「メラノサイト」という色素細胞が作り出す「メラニン」という色素によって決まります。メラノサイトがメラニンを髪に受け渡すことで、髪に色がつきます。
白髪はメラニンが作られにくくなった状態
白髪は、このメラニンが十分に作られなくなった状態の髪です。
医学的な研究では、メラノサイトそのものの機能低下に加えて、メラノサイトのもとになる「メラノサイト幹細胞」が、毛包内でうまく維持されなくなること(枯渇)が、白髪が生じる重要な仕組みとして報告されています。
白髪のメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、このメラノサイト幹細胞の維持不全が中心的な研究テーマになっています。
白髪の主な原因7つ

ここが記事のメインパートです。白髪にはさまざまな要因が関係すると考えられています。
原因①加齢
年齢を重ねるとともに白髪が増えるのは、多くの人が経験することです。加齢に伴い、メラノサイト幹細胞の機能が徐々に低下していくことに加え、体の抗酸化機能(活性酸素の害を防ぐ働き)も低下していくとされています。この2つが組み合わさることで、白髪が増えやすくなると考えられています。
原因②遺伝
白髪になりやすさ、白髪が生え始める年齢には、個人差があります。研究では遺伝的な影響があるとされていますが、その影響の大きさは研究によって推定にばらつきがあり、一律に「◯%は遺伝で決まる」と言い切れるものではありません。家族に白髪が多い場合、自分も早めに白髪が生えやすい可能性はありますが、「遺伝だから何をしても無駄」というわけでもありません。生活習慣など、ほかの要因も関係していると考えられています。
原因③酸化ストレス
活性酸素とは、体内で発生する、細胞にダメージを与えうる物質です。研究では、白髪になった毛髪の内部に過酸化水素(活性酸素の一種)が蓄積していることが報告されており、これによってメラニンを作る酵素の働きが妨げられる可能性が指摘されています。この酸化ストレスは、加齢とともに蓄積しやすくなるほか、紫外線などの外的な要因によっても影響を受けると考えられています。白髪研究において、酸化ストレスは重要なテーマのひとつです。
原因④ストレス
「ストレスで白髪になる」という話は、あながち間違いではありません。米国皮膚科学会(AAD)も、ストレスが白髪を含む老化のサインを早める可能性があるとし、強いストレスがかかると、体の緊張反応によって、メラニンを作るメラノサイトが毛包から移動してしまうことがあるとしています。心理的なストレスが、体内では酸化ストレスにもつながりうると考えられています。ただし、「強いストレスを感じたら必ず白髪になる」と言い切れるものではなく、個人差があります。
原因⑤喫煙
喫煙は、若白髪との関連が複数の研究で報告されています。ある研究では、若くして白髪が生えた人のグループは、そうでないグループに比べて喫煙者の割合が高かったと報告されています。喫煙による酸化ストレスの増加が、この関連の背景にあると考えられています。
原因⑥栄養状態・栄養不足
ビタミンB12、鉄、銅、ビタミンDなどの栄養素は、髪の健康と関連があるとされ、一部は若白髪との関連も研究されています。ただし、栄養素によって研究の裏付けの強さには差があります。ビタミンB12や鉄については、欠乏と若白髪の関連を示す研究がある程度確認されていますが、銅については人での研究が乏しく、ビタミンDについては研究によって結果が分かれています。「白髪は◯◯の栄養不足が原因」と自己判断してサプリメントなどに頼るのではなく、気になる場合は医療機関に相談することをおすすめします。
原因⑦病気や薬などの影響
白髪の多くは加齢や生活習慣に関連したものですが、まれに、甲状腺の病気や自己免疫の病気などが若白髪と関連して報告されているケースもあります。ここで大切なのは、「白髪の原因は病気だ」と断定することではなく、「若白髪などで、こうした病気との関連が報告されているケースがある」という理解にとどめることです。白髪以外に気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関に相談しましょう。
白髪が増えるのはなぜ?

「白髪の原因」だけでなく、「なぜ増えるのか」も気になるところです。
年齢とともに徐々に増えるのは珍しくない
これまで見てきたとおり、白髪は加齢や複数の要因が積み重なって生じるものなので、年齢とともに少しずつ増えていくこと自体は、珍しいことではありません。
一気に増えたように感じるのはなぜ?
「急に白髪が増えた」と感じることがありますが、実際には少しずつ増えていたものに、あるタイミングで気づいたというケースも少なくありません。黒髪との割合、髪型、鏡を見るタイミングなどによって、白髪の目立ち方は変わります。また、白髪の増加速度そのものにも個人差があります。
急に白髪が増えた場合はどうする?
とはいえ、明らかに短期間で急激に白髪が増えたと感じる場合は、生活習慣だけの問題と自己判断せず、体調の変化がないかも含めて振り返ってみることをおすすめします。気になる場合は、医療機関に相談する選択肢もあります。
20代・30代で白髪が生える原因は?

ここは検索する人が多い、重要なテーマです。
20代の白髪は珍しい?
20代で白髪が生えること自体は、決して珍しいことではありません。前の章で紹介したとおり、遺伝や生活習慣など複数の要因が関係するため、若いうちから白髪が出る人は一定数います。
30代で白髪が増えるのは普通?
30代になると、白髪を実感する人がさらに増えてきます。これも自然な変化の範囲であることが多く、それだけで過度に心配する必要はありません。
若白髪の原因は遺伝だけ?
若白髪の原因は、遺伝だけとは限りません。前の章で紹介した加齢以外の原因(酸化ストレス、ストレス、喫煙、栄養状態など)は、若い世代にも当てはまります。
若白髪と生活習慣の関係
特に喫煙や栄養状態、ストレスとの関連は、若白髪においても指摘されています。詳しい内容は、前の章「白髪の主な原因7つ」もあわせてご確認ください。
若白髪が気になる場合に確認したいこと
若白髪そのものは、多くの場合、病気のサインというわけではありません。ただし、白髪以外に気になる体調の変化がある場合や、急激に白髪が増えた場合は、自己判断だけで済ませず、医療機関に相談することも選択肢のひとつです。「若白髪=何かの病気」と不安になりすぎる必要はありません。
白髪が生える場所によって原因は違う?

最初にお伝えしておきたいのは、白髪が生える場所によって、特定の内臓が悪いと判断できる医学的根拠はない、ということです。そのうえで、各部位について、よく聞かれる内容を整理します。ここで紹介する内容は、「この場所の白髪は、この原因で決まる」というものではなく、あくまで一般的に言われている傾向として参考程度にご覧ください。
前髪・生え際の白髪
顔まわりにあり、目につきやすい部分です。目立ちやすいために気になりやすいという面もあります。
こめかみの白髪
こめかみも比較的早い時期から白髪が目立ちやすいとされる部位のひとつです。
つむじの白髪
つむじ周辺は自分では見えにくく、他人に指摘されて気づくことも多い部位です。
頭頂部の白髪
頭頂部も自分では確認しづらく、鏡や写真で気づくケースが多い部位です。
後頭部の白髪
後頭部も同様に、自分では見えにくい部位です。
分け目の白髪
分け目は地肌が見えやすい場所のため、白髪があると目立ちやすくなります。
襟足の白髪
襟足は髪の量が多く、比較的白髪に気づきにくい部位とされることがあります。
眉毛など髪以外の白髪
白髪は頭髪だけでなく、眉毛やひげなど、体のほかの体毛にも生じることがあります。仕組みとしては頭髪の白髪と同様、メラノサイトの働きの変化が関係していると考えられています。
「白髪の場所で内臓の悪いところが分かる」は本当?

検索でよく見かけるテーマなので、独立して取り上げます。
「右側の白髪」「左側の白髪」に意味はある?
左右どちらかに白髪が偏っているという説を見かけることがありますが、これを裏付ける医学的な研究は見当たりません。
白髪と血流の関係は?
血流が髪の健康に関わる要素のひとつであるとは考えられていますが、「白髪の生える場所によって、特定の部位の血流の悪さが分かる」という主張を支持する医学的な研究は確認できませんでした。
白髪と内臓の関係は?
「額の白髪は胃、こめかみは肝臓」といった説を見かけることがありますが、これは中医学(漢方の考え方)や経験則に基づくもので、こうした相関を検証した医学的な研究は見当たりません。
医学的に分かっていること・分かっていないこと
現時点で医学的に分かっているのは、白髪が加齢・遺伝・酸化ストレス・生活習慣など複数の要因によって生じるということです。
一方で、「白髪の生える場所と特定の内臓の不調が対応している」という考え方は、医学的な根拠が確認できていません。白髪の場所だけを見て自己診断するのではなく、気になる体調の変化がある場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
白髪にまつわる「ウソ・ホント」

ここでは、白髪についてよく聞かれる噂をまとめて整理します。
白髪を抜くと増える?
俗説であり、医学的な根拠はないとされています。1つの毛穴からは1本の毛しか生えないため、1本抜いたことが、周囲の毛穴の毛に直接影響することはないと考えられています。
詳しくは「白髪を抜くと増えるって本当?噂の真相と正しい対処法を解説」の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
白髪を抜くとハゲる?
1回抜いただけで生えなくなるというのは誇張ですが、抜くことを繰り返すと、毛包や周辺の頭皮に負担がかかる可能性はあります。白髪が気になっても、繰り返し抜くことはおすすめできません。
ストレスで一晩で白髪になる?
すでに生えている髪のメラニンは定着しているため、髪の色そのものが一晩で変わることは医学的には否定されています。
ただし、強いストレスによって、色のある髪が急速に、選択的に抜け落ちることで、短期間で白髪が目立つようになったように見える現象は報告されています。いわゆる「一夜にして白髪になった」という逸話の実態は、こうした現象である可能性が考えられています。
白髪は黒髪に戻る?
現時点では、白髪を確実に黒髪へ戻す、確立された治療法はありません。ただし、一部の研究では、ストレスが軽減されることで、一部の白髪が自然に色を取り戻したという報告もあります。詳しくは次の章で解説します。
白髪染めで白髪が増える?
俗説であり、白髪染めそのものが白髪を増やすという直接的な医学的根拠は確認できませんでした。
白髪染めと薄毛の関係については、「白髪染めするとハゲるって本当?薄毛との関係や頭皮への影響を解説」の記事でも詳しく解説しています。
シャンプーが白髪の原因になる?
シャンプーそのものが白髪の直接の原因になるという医学的な根拠は確認できませんでした。頭皮への刺激を避ける意味では、自分の頭皮に合ったシャンプーを選ぶことは大切です。
白髪を黒髪に戻すことはできる?

読者の関心が高いテーマです。
一度白髪になった髪は黒く戻る?
米国皮膚科学会(AAD)は、現時点で白髪に色を戻す効果的な医療的治療法はないとしています。
一方で、ストレスが軽減されると、一部の白髪が自然に色を取り戻したという研究報告もあります。ただし、これはすべての白髪に当てはまるものではなく、限定的な条件下での報告である点に注意が必要です。
白髪を減らすことはできる?
「これをすれば白髪が確実に減る」という、誰にでも効果のある方法が確立されているわけではありません。バランスのよい生活を心がけることが、髪と体の健康を保つうえでの基本になります。
白髪対策にサプリメントは必要?
栄養状態が髪に影響する可能性はあるとされていますが、「白髪だから特定のサプリメントが必要」と自己判断するのではなく、気になる場合は医療機関に相談し、必要に応じて栄養状態を確認することをおすすめします。
白髪染めと白髪対策は別物
白髪染めは、見た目の色を変えるためのヘアケア方法であり、白髪そのものの原因に働きかけるものではありません。「染めれば白髪の原因が解決する」というわけではない点を理解しておきましょう。
白髪を増やさないためにできる対策

「これをすれば白髪が治る」という考え方ではなく、「髪と体の健康を維持するためにできること」として紹介します。
バランスの良い食事を心がける
栄養状態は髪の健康に関わる要素のひとつとされています。特定の食品に偏るのではなく、バランスのよい食事を心がけましょう。
睡眠・休養を確保する
十分な睡眠や休養は、体全体のコンディションを整えるうえで基本になります。
禁煙を検討する
喫煙は若白髪との関連が報告されています。禁煙は、髪だけでなく体全体の健康にとってもプラスになると考えられます。
紫外線対策をする
紫外線は酸化ストレスの一因になると考えられているため、帽子や日傘などで対策することも一つの方法です。
過度なストレスをためない
ストレスと白髪の関連が指摘されていることから、自分なりのストレス解消法を持っておくことも大切です。
極端なダイエットを避ける
急激な栄養不足につながる極端なダイエットは、髪の健康にとってもマイナスに働く可能性があります。
白髪が気になるとき、病院に行ったほうがいい?

基本的には加齢による白髪が多い
白髪の多くは、加齢や複数の要因が積み重なって生じる、自然な変化です。すべての白髪について病院に行く必要があるわけではありません。
若いうちから急激に白髪が増えた場合
一方で、若いうちから、短期間で急激に白髪が増えたと感じる場合は、念のため医療機関に相談することを検討してもよいでしょう。
白髪以外の症状もある場合
白髪だけでなく、体調の変化や、ほかの気になる症状がある場合も、自己判断せず医療機関に相談することをおすすめします。
何科を受診すればいい?
白髪について相談する場合は、皮膚科が基本的な受診先になります。米国皮膚科学会(AAD)も、基礎疾患が原因と考えられる場合、皮膚科専門医が診断・治療にあたれるとしています。気になる症状によっては、内科など別の診療科と併せて相談することも選択肢になります。
早めに専門医へ相談したい方へ AGAは進行性の脱毛症であるため、気になるサインがあれば早めに専門クリニックへ相談することが大切です。最近では、通院の手間が少ないオンライン診療を選ぶ方も増えています。料金や特徴を比較しながら検討したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
白髪の原因についてよくある質問
まとめ|白髪の原因は一つではない
この記事のポイントを整理します。
- 白髪はメラニンが作られにくくなることで生じる
- 加齢・遺伝が大きな要因
- 酸化ストレスや生活習慣なども関係する可能性がある
- 20代・30代の白髪も珍しくない
- 「白髪の場所=内臓の異常」とは判断できない
- 白髪を確実に黒髪へ戻す方法は現時点では確立していない
- 急激な変化や他の症状がある場合は医療機関へ
白髪は、年齢だけでなく、遺伝や生活習慣などさまざまな要因が絡み合って生じるものです。過度に不安に思うのではなく、気になる変化が続く場合は医療機関に相談しながら、自分の髪や体と上手に付き合っていきましょう。
「#AGAのウソホント」シリーズでは、このほかにも身近な薄毛の疑問について解説しています。あわせてご覧ください。
👨💼 40代サラリーマンのAGA治療体験記ブログまとめ
私のAGA治療の全記録は以下のブログでまとめています。これから治療を始める方はぜひ順に読んで参考にしてください。
参考文献・参考情報
- American Academy of Dermatology「What causes gray hair, and can I stop it?」
- NCBI Bookshelf(StemBook)「Melanocyte stem cells」
- Nishimura EK, et al. (2005). Mechanisms of hair graying: incomplete melanocyte stem cell maintenance in the niche. Science, 307(5710).
- Nishimura EK. (2007). Aging, graying and loss of melanocyte stem cells.
- Seiberg M. (2013). Age-induced hair greying – the multiple effects of oxidative stress. International Journal of Cosmetic Science, 35(6).
- Wood JM, Decker H, Schallreuter KU, et al. (2009). Senile hair graying: H2O2-mediated oxidative stress affects human hair color by blunting methionine sulfoxide repair. The FASEB Journal, 23(7).
- O’Sullivan JDB, et al. (2021). The biology of human hair greying. Biological Reviews, 96(1).
- Rosenberg AM, Picard M, et al. (2021). Quantitative mapping of human hair greying and reversal in relation to life stress. eLife.
- Indian Dermatology Online Journal (2013). Smokers’ hair: Does smoking cause premature hair graying?
- (2014). Association of premature hair graying with family history, smoking, and obesity.
- Desai et al. (2025). Premature hair graying: a multifaceted phenomenon. International Journal of Dermatology.
- Poonia & Bhalla (2024). Premature Graying of Hair: A Comprehensive Review and Recent Insights. Indian Dermatology Online Journal, 15(5).
- Frontiers in Endocrinology (2017). Vitiligo and Autoimmune Thyroid Disorders.
※本記事は、公的な診療ガイドラインおよび公表されている研究を参照して執筆しています。個別の症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。

